あっさり終わった

日記

2023/05/09

画面に映された歯のレントゲンをボーッと見つめる。情報として目に入ってきているのは分かるが、本当の意味で見てはいない。まだ忘れられない。上司に「あなたは会社にとって不要だ。無価値だ。出ていってほしい」と暗に告げられる瞬間を。

悲観的になっている訳じゃない。悲劇として扱いたい訳でもない。でもあの風景が、あの時間が忘れられない。

うつ病になったことが献身さを表す訳ではないけれど、うつ病になるほど無理はしたつもりだ。もちろん本望ではない。後悔はしていないが、一般的には避けたくなる事案だと思う。5年間。自分なりには頑張ったつもりだった。無理をして、仕事以外の時間も考えて、期待に応えようとしていた。

こんなにあっさりと終わるのか。創業から今まで半分以上の時間、僕は会社にいた。教室に収まるくらいの人数から、百数十名に増えるまで、僕は会社を見てきた。5年間。でも上司が20分くらいで「なぜ僕が会社を出ていかないといけないか」を、無機質に、ビジネスライクに説明して終わった。あんまりだと思った。百数十名で昔からいた僕だから、社長や副社長、事業部長からの何かしらの説明があっていいと思った。何をどう説明されようが、恨みや苛立ちは避けられなかったと思う。

僕からの景色、一人の従業員からの景色は、圧倒的な他責だった。明らかな経営の過ちを「じゃあまず従業員をクビにしよう」と転嫁した。経営陣としてお金の使い方を間違っていた、採用し退職されを何度も繰り返し採用時のブランディングや入社後のマネジメントが間違っていた、採用するも遊び始めた社員が出てきて人件費の無駄が発生した、新規事業を開始し数年経っても売れず判断を遅く撤退し無駄になった、僕からはその全ての責任を数十人の従業員に向けて、クビにする、という風に見えた。

もう少し丁寧に、少しウェットに説明があってもいいと思った。もうちょっと書こうと思ったけど、ここで止める。