経済的自由と思想的自由

日記

お昼ごろ起きて水曜日のダウンタウンを観ながらサラダを食べた。『水曜日のダウンタウン』の過去分を観るために、新しい動画配信プラットホームに入会した。『ガンニバル』とSUGAのドキュメンタリーを観るためにディズニープラスにも入会したので、今5、6個入ってる気がする。削らないと。無職とニアリーイコールの人間が贅沢だ。

テレビを受信していないので普段はずっとテレビを観ない人間だ。でも観ようと思ったのは、雑多な情報をインプットして素材、観点にしたいなと思ったからだ。普段は特定の好みのインプットしかない。偏りがある。テレビだと、一つの番組を取っても、雑多な情報が含まれているので、興味関心の幅を広げられそうだなと思った。変態的な企画・人間にも出会えそうだし。

『水曜日のダウンタウン』は企画がいつも話題になっていて、興味があってプロデューサーの対談書籍を読んだことがある。何年やってるか知らないけれど、ずっと話題になる企画を提供し続けている気がする(少なくともSNSで取り上げられているのをよく見る)。「そんなアイディアどうやって思い付くの?」「どうやって企画を実行したの?」を考えながら観ると面白いだろうなと思った。たぶん文章にも活かせると思う。

お昼を食べ終わった。雨、気圧変化のせいか、気分が乗らない。少し頭も痛い。映画を観に行こうと思い外に出たが、痛いくらい風が強く危険を感じたので退散した。気を付けないと何かが飛んできそうで、傘も飛ばされそうで、もうちょっと風圧強かったら肌に当たった雨が少し痛くなりそうなくらいだった。

映画館で鑑賞したい作品は二つ、『テリファー 終わらない惨劇』と『怪物』である。ストーリー、方向性、空気感・表現が全く異なる二つだが、どちらも傑作だと確信している。映画館は楽しいが、外に出て映画を観るのはエネルギーを使う。今日はどうしても落ち込みがひどいので『テリファー』『怪物』は明日以降にしよう。観たい映画がたくさんあり追いつかない。たぶん一生「追いつかない」という気分を味わったままなのだろう。

今日は『あのこは貴族』を観た。貴族と交流したことがないから、ほう、と思った。こんな世界があるのか。こんな風に生きている人がいるのか、と。貴族でなくても家族はしきたり、価値観、偏見を押し付けてくる。言葉や演出で明確に語られる訳では無いが、しがらみによる違和感、気持ち悪さ、窮屈さが所々に感じられてもどかしく感じた。

家族が裕福で経済的な不自由はないが決まり、伝統、凝り固まった考えに耐えないといけないか、自分の考えを重んじて比較的柔軟に様々な選択が出来るが経済的に安定のために仕事・家事に耐えないといけない、どちらが望ましいだろうか。どちらが幸せなのだろうか。

特徴的なシーンがあった、ある人が「植物を育てたい」と言うが、貴族が「買えばいいじゃん」と言う。何かがほしいならお金と交換して手に入れてしまえばいい。でもお金で買えない何か、効率性・損得以外の何か大切なものがある。不便さ、めんどくささ、退屈さ、大変さ。結果ではなく、プロセスに満たされる何かがある。余白に心地よさがある。仕事を実質クビになり生活しながらめんどくさい事柄について考えていたテーマのようなものが、映画の中で示された気がした。

門脇麦と水原希子、二人ともいつもと違う雰囲気を出していて絶妙な演技で驚いた。門脇麦は幾つかの映画を観たがどれとも違う所作、表情、ムードでさすが俳優と思った。俳優その人自身のイメージが常にこびりついている俳優もいるが、抹消できる人もいて、後者に出会えると心躍る。僕が抱くそもそもの印象が間違っていたのかもしれないが、水原希子の演技を見て「こんな人なんだ。こんな側面もあるんだ」と感じた。他の水原希子の作品も観よう。

ビートたけしは映画の講義かなにかで生徒を外に連れ出し人をよく見ろみたいなことを言ったらしい。外見、動きからたくさんのことを知ることができる。靴の汚れ具合、身に付けているカバンのブランド、背筋がまっすぐかどうかなど、身体、動きが語ることはたくさんある。対話やナレーションでのキャラクター設定以外に、身振り手振りで役の育ち、職業、性格・感情など、雰囲気・空気感が演技でも表現される。俳優の素の姿、空気感は消える。巧みな技芸に感銘を受ける。ピエール瀧は実生活でも裏社会の人間なのでは、と思ってしまう。

少し話は逸れるが、身体の動きで言うと、たまにある動きに中毒性を感じることがある。最近だと韓国アイドルグループ・LE SSERAFIMの『Unforgiven』という曲のAメロで、メンバーのユンジンが「wanna shut me up」という歌詞とともに、腕を左から右に流しながら、手でくの字・くちばし作りそれを2回ほどパクパクさせて閉じる、という振り付けがある(説明が下手でごめんなさい)。なぜか魅了されて、その部分だけ十数回見た。僕はK-POPアイドルがにわか程度に好きでMVをよく見るのだが、中毒性のある振り付けばかりで感動する。

身体の表現。なかなか上手く言葉に出来ないけれど、ある意味合いや雰囲気を感じ取ったり「かっこいい」「可愛い」と感じたりする。なぜか分からないし、映画や音楽の外だったら絶対に「奇妙な動きだな」で終えるくらいなのに、作品の文脈の中だと、ワクワクしてしまう。不思議だけど少し解剖して言葉にできるようになりたいなと思った。TWICEもLE SSERAFIMもNew Jeansも、なんで身体の動きが癖になるんだろうか。

2023/06/02